クリスマス次の朝 [嫁]
朝ご飯を家族と食べていた。
右手で持っていたお箸の持ち手付近が
「ポキッ」と折れた。
妻は、「ぁ、今日は気をつけて」と僕に伝えた。
人生におけるアクシデントなんて、いつでも、誰にでも起こりえる事である。道歩く人、隣人、家族にも。そんな事にビビってはいけない。それを受け止め、深刻にならずに正面を向いて歩き続ける事が普通の事だと感じている。
だから、僕は、折れた箸をそのまま使って、もくもくと食事を続けた。
新しい箸を持ってくるのも、持ってくる手間、洗う手間を考えるとナンセンスに思えた。だから、妻にも、この折れた箸を今はそのまま使う。と伝えた。
妻は一口食べ終わると、さっと立ち上がり、キッチンに向かい、違うお箸を取り出し、僕に差し出した。
「こっちに替えて」
「いいよ、これで食えるから」
「よくないから、こっちを、はい」
と、僕のおれた箸を横から抜き取り、差し替えた。
妻と付き合いを入れると20年。
彼女はこういう人である。と、今更ながら思った。
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