黒ジョカと芋焼酎 [愛人]


金曜日の夜、女から久々に連絡があった。

小料理屋で会ったのだが、カウンターで二人酒を飲みながら女は泣いていた。

女: 会いたい時にあなたは、いないのよね。

俺: 会っていない時に「会いたい」と思うのは当たり前。
  誰も、会っている時に「会いたい」と思う思考回路は働かないでしょ。

女: ね、私の事好き?あなたはいつも、自分の事ばかり。
  私の事を全く気にしない。こちらが誘わない限り連絡もくれない。
  くれるのは、セックスしたい時だけ。


横でグデグデになって腕にしがみつきながら頭を肩にうなだれる女。
髪のいい香りがふわっとしながらも言葉数少なげに背筋をピンと伸ばして飲みつづける俺。

芋焼酎の「明るい農村」を黒ジョカで飲みながら別の事を考えていた。

しばらくすると、女はカウンターで眠りだした。

カウンター越しに店のおやじから水が出てくる。

絶妙なタイミングだなあと感心する。

そして、一人飲み続けながら思う。


富乃宝山って事故米だったかな。。。
そういや、芋だったな。これ。

ま、どうでもいいか。。


鉄ビンが空になったので、富乃宝山を頼む。

ゆっくり飲み干して店をあとにした。

女はぐでんぐでんになりながらも、今日はどうしても、セックスしたいから家に来て、と言う事をきかない。


結局、この女もセックスしたい時に俺を呼ぶんだ。


と、思ったらなんか笑えてきた。


師走で今年ももう終わり。

来年も同じ事をくりかえすんだろうな。。。。



 

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